地域通貨エコマネー 地域コミニティーの再生へ


地域経済を投機から守り、地場産品の地元消費で活性化

非営利組織(NPO)などの組織が独自に発行し、住民同士の信頼関係で通用する「地域通貨」。商業ベースに乗りにくい個人間のサービスや、規格外の農産物などを地域内で流通させようとする試みで、目指すのは、自治体や企業に頼らない地域活性化やコミュニティービジネスの創出だ。現在、30以上の地域が取り組んでいると見られる地域通貨は、今後の街づくりのあり方について重要な示唆を与えてくれる。

主なエコマネー導入・検討地域    
(エコマネー・ネットワークまとめを一部追加)

地域

目的

通貨単位
北海道栗山町 介護・福祉 クリン
東京都多摩ニュウタウン コミニティーづくり COMO
長野県駒ヶ根市 まちづくり ずらー
静岡県清水市駅前銀座 商店街活性化 エッグ
富山県高岡市 市街地活性化 ドラー
富山市 高齢者福祉 きときと
滋賀県草津市 NPO連携 おうみ
兵庫県宝塚市 まちづくり ZUKA
広島県東広島市 NPO連携 カントリー
高知市 商店街活性化 エンバサ


エコマネー」 
買い物代行などのポランティア活動に対して、活動の受益者が対価として支払う「お金」。地域通貨と異なり、商店などでの實い物には使えず、一現金や金などと交換できる兌換性もないのが一般的。商店街や非営利組織(NPO)などが発行主体となり、あらかじめ決められた一定の範囲で流通することが多い。



     事例の紹介

進化する商店街ポイント・エコマネーに】 H15.12
行政主導 住民と協働・地域通貨が「仕掛け」にH15.08
エコマネーの導入、静岡県内で広がる】   H15.08
地域通貨には長い歴史・加藤 寛】     H15.07
しるく委員会が、あなたの要望かなえます】 H14.11
商店街再生の切り札に、交流が商機生む】   H13.01.16 日経流通
広がる地域通貨、信頼が生む街の活力】   H13.01.09日経流通
わがまちのお金】サービス買えます       H12.10.14 朝日
【清水駅前商店街エコマネー実施】地域のきずな再構築 H12.09.22 日経
【エコマネー 活動時間を“貯金”】  H12.06.30静岡新聞
【地域通貨・台所直結のサービス】    H11.12.11 朝日新聞
【烏山商店街に負けない賑わい、武蔵小山商店街(パルム)】商店街パンフレットより
【地域通貨・共通商品券】        H11.11.18 日経流通
和同開珎”1300年ぶりに復活      H11.10
【プレミアム商品券で集客】       H10.11.05 日経流通
【プレミアム商品券】大阪・天神橋筋で  H10.11.05 日経流通
【地域共通商品券】成功には一工夫    H11.3.30  日経流通
【わが町の通貨】社会の底辺を支える試み H12.1.18  日 経
【地域通貨】わが町の自律的発展支える  H11.10  .朝 日






進化する「ポイント」エコマネーをめざす
  H15.12

買い物金額に応じてもらうシールやポイントをためるのは買い物客のささやかな楽しみ。その仕組みを商店街や地域全体に広げる取り組みも盛んだ。
北海道釧路市で動き出している「くしろスキップカード」。市内十七の商店街全体だけでなく、タクシーや車検整備、スナックや冠婚葬祭店など地域の小売り・サービスに参加を呼びかけた点が特徴だ。大型店が相次ぎ進出する中、商店街を中心に中小店舗が手を組んだ格好だが、これだけ広い業種で単一カードを導入したケースは珍しい。
買い物の際にレジで提示すれば、1ポイントと1円に相当のポイントがたまり、次の買い物で利用できる。
2002年2月から本格運用に入り、現在、カードを使用できるのは市内の290社420カ所。当面の目標は主要な店舗の八割をカバーする500カ所だ。
今年七月から法人カードも導入、力ード会員は市の人口の4分の1以上に当たる5万人を突破した。 「今後は行政機関でも使えるよう市に働きかけ地域マネーとして消費が循環できるようにしたい」。渡辺武郎・釧路ポイントカード事業協同組合理事長は意気込む。

石川県輪島市では2002年、市内の商店街限定商品券の年間発行額が、初めて一億円の大台を突破した。地域を巻き込み使える店舗を漁業や観光関連にも広げたことが功を奏し、1995年に比べ4割以上アップ。病気の快気祝いは「95%がうちの商品券」 (小山桂一・輪島市商店連盟マ協同組合理事長)という。
もっとも参加店舗は増やせばいいわけではない。北海道厚真町のあつまスタンブ会は昨年7月、カードの参加店舗を80店から積極的な36店に減らした。
 車で大型店に行けない高齢者や中学生にはポイントを増額するなどの工夫を凝らすことで、全体の利用金額は横ばいという。 「少数精鋭で意思決定がスピードアップした」、(同町商工会)
 ポイントを使った商店街振興策に詳しい地域商業研究所(福岡市)の金尾俊郎代表はこう指摘する。 「参加店舗の拡大や絞り込みは地域の実情よるが、ポイント利用客を優遇するなど、消費者に使えば得をすると感じてもらう取り組みが必要」


行政主導 住民と協働・地域通貨が「仕掛け」に、
神奈川県大和市の取組

地域通貨は特定の地域や集団で、住民相互の協働の仕組みなど、社会的活動を刺激する目的で流通させているもので、全国で100以上あるといわれる。経済的な価値だけでは測れない共助活動を交換する「エコマネー」と、実際に施設使用料金の代わりに使えたり、商店街での割引や商品代金の一部として利用できたりする「ボランティアマネー」
がある。IC力ードを使った電子通貨の形もある。

 神奈川県大和市の「LOVES」は、住民票や印鑑証明の交付の際に身分証明となる「大和市民力ード」に地域通貨の機能を兼ねた電子通貨である。運営は行政主導だ。
人口の社会的移動が宿命である都市において、密接な地域コミュニティーを構築するには行政側にも地道な努力が必要である。その仕掛けとしての地域通貨への期待は大き
い。
 地域通貨が定着し流通するには、事務局がコーディネーター機能を十分発揮する必要がある。そのためには地域活動を支える人的資源の層の厚さがなければならない。
プライバシー保護などの課題もあるが、地域通貨が出会いのきっかけになり、住民の地域への関心を藤のる効果も小さくない市民協働社会は手探りながら始まっている。


エコマネーの導入、静岡県内で広がる

静岡県内で、ボランティア活動などの「代金.として使われるエコマネーの導入地域が広がてきた。エコマネーを介した相互扶助で地域コミュニティーの再生を期待する声が多い。現金むと交換できるようにするなど、一層の利用拡大をめざす新たな試みも出てきた
●熱海エコマネー研究会(アミ)
●富士宮・地域通貨バニーの会(バニー)
●清水駅前銀座商店街振興組合(エッグ)
●天竜市・夢未来くんま(べあー)
●磐田・磐田市体育協会(ポエム)

「地域コミニティーの再生へ」
県NPO推進室によると、県内で約50の団体・地域がエコマネーを導入済み、または導入を検討中。県は導入を目指す団体や地域をパイロット地区に指定し、資金的な支援や助言をする。
もちろん課題もある。
県は「相互扶助による地域コミュニティの復活には有効だが、成功事例は流通範囲が狭いところに限られる」 (NPO推進室)と指摘する。あくまでボランティア活動を介するため、見ず知らずの人には頼みにくい。流通が活発なエコマーは商店街や新興住宅地、大学のゼミなど狭い範囲で使われるものが多い。
 このため、磐田市体育協会(磐田市)は流通範囲の拡大を狙ったユニークな取り組みを始めた。.エコマネーを現金と交換できるようにして地域通的な存在にしたのだ。
同協会が発行する「ポエマ」1ポエマ=百円の価値を持ち、飲食店など地元商店で現金代わりに使える。
金融機関でも換金できる。交換の裏付けとなるのは協会に集まる寄付金などだ。エコマネーの多くはボランティアとの交換が目的だが、兌(だ)換性があれは通貨に近づき、
広範囲栂流通する可能性がある。同協会の鈴木専務理事は「エコマネーを地元商店で使えるようにしたことで地元経済の活性化にも貢献している」とする。
磐田市の臥り組みは今後、エコマネーの普及を目指す全国各地の注目を集めそうだ。



地域通貨には長い歴史  千葉商科大学学長 加藤 寛  H15.07

.景気低迷が続き地方の中小.企業への貸し渋りが激ルくなっている。ことは今年の「中小企業白書」で明らかである。日銀がお金(貨幣量)を増やしても、銀行は目己資本比率を守るためリスクのある融資よりも国債などにそのお金を回してしまうから、地方景気の回復はおぼつかない。
どうすればお金を地方に回せるのだろうか。

いま日本の経済には将来不安があって、消費を節減しているから、地方に金を回せといったって需要がない、で済ましてしまう人がいる。冗談ではない。いま介護や福祉事業そして環境対策など地方の仕事は潜在的にばく大である。公共事業はムダ遣いといわれストップがかかっているが、そのすべてが悪いのではない。
道路にしてもダムにしても必要な地域には必要なのである。たしかに、いままでは中央集権的なシステムだったから、地方のお金が中央に集中し地方の自主性は認められていなかった。これでは活力が出るはずもない。

ここにメスを入れようと構造改革特区の政策がとられたのだが、狙いはよいとしても大切な分野では所管官庁が厳しくなかなか認められないっ特区である以上、地元の要望はくだらないと思ってもすぺて認め実行させた方がいい。北海道の留辺蘂(るべしべ〉町が構造特区の提案として地域通貨の発行を求めた。その動きに私も注目していたら、.早速、財務省から「取り下げよ」という電話があったという。そのやりとりの中で加藤寛教授が提案しているといったら、「あの学者の理論は粗雑だ」といって取り上げなかったという。
いくら何でもひどいと思っていたら、財務省の役入が謝罪にやってきた。そこで私は「許可しないのか」とただしたら、 「結構です。やっていいと黙認します」という。
つまり許認可の判断がこの程度で行われているということで、政策が一役人の恣意(しい)に左右されているということの証左でもある。

 地域通貨には長い歴史があけ、決して「粗雑」なものではない。通貨発行権を地方自治体や金融機関などにも認めようということだ。その通貨は無利子で、その地域でしか使用できないものの、中央通貨の不足を補うことになるのである。

J・M・ケインズは大恐慌時、デフレ対策に苦慮していたが、S・ゲゼルの.「スタン-プ貨幣(減価貨幣)についでかなり興味を持っていたらしく、その実効性に首をかしげながらも、自身の主著「一般理論」でかなりのぺージ数をさいて説明している。ゲゼルは十九世紀後半にアルゼンチンで事業家として成功 したドイツ人。 インフレやデフレ不況は(利子を生む貨幣に原因があると考えた。いかなる製品も時間と共に腐食したりして価値を失っていくのに、貨幣だけは利子を生むから、消費の必要がなければ退蔵され循環しなくなる。

これがデフレをもたらすとして、ゲゼルは時間ととむに価値の下落する通貨(スタンプ貨幣)を提案した例えば一万円札を一年以内に使用しなければ価値が減ることになる。これを特定地域で使わせれば、中央通貨とは別な通貨が流通することになる。

彼はその時、地域通貨を想定したわけではなかったが、これによって退蔵される国家貨幣にかわって地域通貨が特定地域内で流通すれば一定期間内に消費を刺激することになる。

小渕恵三内閣の時の地域振興券は一回限りの商品券だから効果は小さかったが、地域道貨は特定地域内で循環流通する通貨である。

 オーストリアのヴ'ルグルいう町で1932年、デフレ対策としてこの通貨が導入され、画期的成果をあげたとい歴史的事実がある。「エンデの遺言」 (河邑厚衝+グループ現代、NHK出版)によると、町が事業をおこし、失業者に職と「労働証明書」という紙幣を与えた。
その裏面にはこう書かれてい、たという。 「諸君、貯(た)めこまれて循環しない貨幣は世界を大きな危機、そして人類を貧困に陥れた。労働すればそれに見合う価値が与えられなければならない。お金を一部の者の独占物にしてはならない。この目的のためにヴェルグルの労働証明書は作られた。貧困を救い、仕事とパンを与えよ」。

 この紙幣はかなりのスピードで取引に使われるようになつた。毎月額面の1%相当額のスタンプを張らないと使用できなかったからであり、人々はそのコストを嫌って早く使おうとした。公務員の給与や銀行での支払いにも使われ、他地域の模範として定着するはずであったが、中央通貨令によって禁止された。近代国家が、通貨発行権をもつだけで得られる大きな利益を中央銀行に集中させようとしたからだ。

前回述べた地域通貨をめぐるかつてのオーストリアでの動きが近年見直されてきた。
「ベェルグル」の火は消えなかったのである。戦後世界経済はグローバルとともに多いに発展したが、福祉・環境の問題が大きくなり、地域社会.が筋崩壊するいう現実の中で、介護やボランティアなどの非市場的な取引が確実に増大してきたからである。

経済人類学者のポランニーは経済体制を交換・再配分・互酬(贈与と返礼)の3パターンに分類している。交換と再分配の経済体制を商品経済と呼ぶならば、商品経済体制は価格を通してのみ商品の価値を表現することになる。
 しかしそうでない互酬の価値を考えるなら、贈与め交換や相互挟助を媒介する手段としての貨幣が必要なのではないか。このための貨幣が狭義の地域通貨=エコマネーという形でいま世界で約4000、日本で約200に拡大してきたのである。
 エコマネーは地域社会を守ろうどする経済体制の自己表現というべきもので、国の法定通貨では表しにくい「下(市民〉からの信頼」を基本としている。このため、法貨と交換できない場合が多い。地域杜会がグローバリゼーションの中で生き残っていくためには、
@地域社会を開放して世界的レペルでモノ、カネ、ヒトの出入りを活発にする
A地域内部での資源・資金・人材の循環を活発にする。などが不可欠になる。
エコマネーはこの第二の道として展開された。
 
最近のエコマネー.・ブームの先駆けとなつたのは、1983年にカナダのバンクーバ.ー島で地域経済の自立性を高めるために導入された「LETS」(Local Exchange Trading System)である。それが経済的不況・低所得者対策、環境対策として欧州にも普及したが、それらは通帳方式と借用証書方式など煩雑なやり方だったために、普及が思うようには進まなかった。

 その後、紙幣型などのエコマネーとして、 「トロントダ一ラー(カナダ・トロント市)」や「イサカアワーズ(米ニューヨーク州イサカ市〉」が登場した。これは匿名性が守られ手軽に使えることもあり、かなり利用されている。 「トロントダラー」はカナダドルと交換でき10%が福祉活動に使用される。 「イサカアワーズ」は会員制で財・サービースの取引のほか、ローンの返済、賃金の一部にも使われている年いずれも地域限定で無利子である。

地域通貨のなかで世界最大級といえるのはアルゼンチンの「RGT」〈Red Global de Trueqe=スペイン語で「グローバル交換網」の意)である。首都ブエノスアイレス郊外で食料や衣類などの交換から始まったもので、これを当局が積極的に支援し、一部では納税にも使われるようになっている。

現在では多数のグループがネットワークを組んでいる。アルゼンチンの国家通貨の不足を補い通貨危機からこの国を救っているほどである。最初は通帳方式だったが、取引増大により紙幣が発行されるようになった。
こうみてくると、戦前に不況対策として導入された地域通貨は、中央政府に圧迫される中で、地域コミュニティーを守る存在としてその炎を燃やし続けてきたのである。

この火は日本でも燃え続けている。特定非営利活動法人の千葉まちづくりサポートセンター(千葉市)ができたとき、地域の活性化や相互挟助の仲間づくり、街づくりを支援するひとつのツールとして地域通貨「ピーナッツ」が導入された。講演会入場料の一部やメンバーの著書購入に使われるだけでなく、最近はもっぱら商品、飲食、農産物などの取引に多く利用されている。
 当初は小切手取引だったが、いまは通帳方式がとられている。定期的に通帳を事務局に送り新しい通帳に更新するが、残高がプラスの場合、一定率で減価される仕組みで、早めの使用(消費)を促している。
「ピーナッツ」は人と人とのつながりの輪を広げ地域活性化を図るのが目的だがさらに輪を広げるには、電子マネーヘの移行が望ましいも言える。

 同じく通帳方式の北海道苫小牧市付近の「ガル」は自然環境を守ることを目的に始まった。地域で生産された物品や知識などを交換するのが基本である。地域通貨のメッカといわる北海道栗山町ではボランティア活動を活発にしたいと町主導で「クリン」を導入した。メニュー表から受けたいサービスを選択し、目安とし7時間の労働に1000クリンを支払うなどの仕組みをとっている。
 滋賀県草津市を中心した地域通貨「おうみ」も普及が進んでいる。ただ、各地のエコマネーはなお利便性に欠ける面がある。今後、そうした制約を克服して、国際大学の公文俊平氏が言う広い意味の地域通貨)(共貨とよばれる)にしていくべきである。
一部省略 




地域通貨元気マネーしるく委員会が、あなたの要望かなえます」  H14. 9

群馬県群馬町 現在会員100名前後 しるく一枚500円 流通量6000枚
「地域通貨元気マネーしるく委員会が、あなたの要望かなえます」 こんなキャッチフレーズを合い言葉に、今年4月から群馬町で実践を始めた。

その仕組み 利用者は、事務局で会員登録を行い、地域通貨への助成基金「しるくファンド」に寄付すると福祉サービスリスト、通帳、500円付一枚の通貨「しるく」が入手できる 有効期限は1年 、一枚で1時間程度のサービス。
サービスリストを見て自分の欲しいサービスを見つけ、コーディネーターまたは事務局に連絡をする。

一時間当たり「しるく」一枚をサポーターに渡すが、サービス内容が充実したと感じられれば、枚数は当人どおしで決めるという方法。 この利用を通帳に記録する。
サポーターはサービスリストに自分の出来ることを登録し、コーディネーターまたは事務局を通して依頼をしたユーザーと出会い、サービスを提供する。

現在、地域振興券と兼ねあわせた地元商店の活性化につながる別の通貨を検討している。

運営主体 NPO法人じゃんけんぽん・地域元気マネーしるく委員会
会費   年会費3,000円 ボランティア保険加入料1,000円
連絡先  地域元気マネーしるく委員会 TEL027-350-3191
E-mail janken-h@ceres.ocn.ne.jp



商店街再生の切り札に、交流が商機生む   H13.01.16 日経流通

使用する人同士の信頼関係を裏付けに、限定された地域内で流通する「地域通貨」。それほどコス上をかけず、地域の実情に合わせた仕組みを導入できるため、商店街の活性化に生かそうという試みが全国各地で広がっている。

特産品にちなむ名前
千葉市にある非営利組織(NPO)「千葉まちづくりサポートセンター」(延藤安弘代表)は、地域通貨「ピーナッツ」(単位は「ピー」)を発行している。地域通貨の単位は、干葉県の特産品にちなんで名付けた。

事務局などで会員登録した参加者には通帳が発行される。ほかの参加者とのサービスのやり取りやボランティア活動などを通じてピーナッツを稼ぎ、それをJR西千葉駅近くのゆりの木商店会(海保真会長)などの二十商店で使うことができる。
例えば、靴店で表示価格の5%をピーナッツで支払ったり、中華料理屋で一定額のピーナッツと引き換えにデザートをサービスしたりといった具合だ。

リピーター増やす
実は、ゆりの木商店会は昨年3月の会合でピーナッツの導人を否決した。「はっきりとした効果の見えない地域通貨をわざわざ導入することもない」というのが各商店の本音だった。ところが、ピーナッツを導入した美容院では固定客が増え、売り上げが約5%上昇。これを見たほかの商店も次々とピーナッツに参加し始めた。

通帳式のピーナッツはサービスを提供する側と受ける側がお互いの通帳にサービス内容と額を記入する方式をとっている。その過程で生まれるコミュニケーションも狙いの一つだ。

地域通貨の仕組みづくりに携わった千葉まちづくりサポートセンターの村山和彦副代表は「中小商店にとって一番重要なことは、もう一度お店に来てくれるリピーターを増やすこと。ピーナッツを介して会話が生まれることで、客は『あの店にもう一度行こう』という気になる」と地域通貨の効果を語る。

静岡県清水市の清水駅前銀座商店街振興組合(中山幹雄理事長)は来月をめどに地域通貨「エッグ」を導入する。ユニークなのは、同振興組合120商店の組合員内だけで流通する点だ。エッグの立ち上げに携わっている野口直秀専務理事は「店番や商品の配達など、やってもらうと助かるけど、商店同士なかなか頼みにくいことなどに使えれば」と期待を寄せる。

エッグの使用を促進するため、同振興組合の婦人部からコーディネーターを4人選出することにした。自分のしてもらいたいことをコーディネーターに連絡すれば、サービスを提供してくれる人がわかるような仕組みにする。1エッグ=30分が目安だ。

導入で助け合い促す
同振興組合は駅前から南北に約420メートル延びる商店街。100メートルも店同士の間隔が離れると、お互いの関係も顔を知っている程度の希薄なものになってしまう。売り上げが伸び悩む商店も多く、ほかの商店まで気が回らないのが実情で、振興組合の活動も沈降気味だ。清水商店街連盟の調査によると2,000年の同商店街の通行量は3年前に比べて37%も落ち込んでいる。

「この状況を打開するには各商店の結束を強め、商店街活動の底上げが必要」(野口専務理事)。そのためには、地域通貨を介してお互い助け倉つことが有効ではとエッグの導入を決めた。地域通貨に詳しいエコマネー・ネットワークの加藤敏春代表は「地域通貨が生み出す人の交流を通じて新たなコミュニティビジネスが創出される」と指摘する。

個人間のサービスなど、現金取引にはなじまない価値を循環させながらコミュニケーションを促進する地域通貨は、商店街活性化の切り札になる可能性を秘めている。
(横山雄太郎)



広がる地域通貨、信頼が生む街の活力    H13.01、09日経流通
サービスを創造、交換   市民・企業が組織

「できること-手作りパンの技術指導」「してほしいことーマッサージ」。
多摩市など東京西郊の旧市にまたがる多摩ニュータウンに住む市民や研究者、企業などが組織した多摩ニュータウン学会のホームページには「できること」と「してほしいこと」のリストが数百項目並ぶ。

リストに載っている様々なサービスは、同学会の「COMO瞑楽部(コモクラブ)」が発行する地域通貨「コモ」を介してやり取りされる。コモは「コミュニティー(地域社会)」「コモン(共通)」などの言葉を基にした造語だ。

提供者と直接交渉

例えば、AさんがBさんに手作りパンの技術指導をしてもらった場合、Aさんは指導料として1500コモ支払う。一方、BさんはCさんにマッサージをしてもらい、対価の500コモ支払う、といった形でコモは流通していく。カード状の地域通貨、コモには100コモ、

500コモ、1000コモの3種類がある。
サービスを受ける人は、ホームページや会報に掲載されるリストを参考にしながら、サービス提供者と直接交渉する。サービス内容はホームページに掲載されていないものでも構わない。サービス一時間につき1000コモが目安だ。コモを使うには、まずCOMO倶楽部に入会する。申し込み書に氏名と連絡先、「できること」「してほしいこと」を書き入れ、1,000円を支払うと、10,000コモが得られる。

COMO倶楽部の設立は2000年6月で、現在の会員数は約70人。多摩ニュータウン地域の住民だけでなく、田無市や武蔵野市の住民も参加している。会社員から学生、研究者や高齢者まで参加者は多種多様だ。現在は実験期間という位置付けで、会員を対象としたアンケート調査などを実施している。結果を踏まえたうえで4月から実用段階へ移行し、会員数も増やす。会員の主婦、佐藤広江さん(33)はコモを支払って、今まで面識のなかった元教師に子育ての相談を持ちかけた。
「普段接する機会の少ない年齢の人ともコモを介して話す機会ができ、視野が広がるのはありがたい」と語る。
農作業の手伝いやお年寄りの話し相手など使い方はさまざまだが、共通するのはコモを使用する際、利用者とサービス提供者の間にコミュニケーションが生まれるということだ。COMO倶楽部の設立にかかわった大妻女子大学の炭谷晃男助教授は「縁もゆかりもない人がコモを通じて新しい関係を築いていける。多摩ニュータウンのように比較的人間関係郁希薄なコミュニティーで地域通貨が果たす役割は大きい」と話す。、

小学校の参加募る

一方、横浜市内の中小企業経営者らが十年後の街づくりを考えようと結成したい「ヨコハマ未来地図づくり百人委員会」は今年、横浜市中区に地域通貨を導入する。区内の小学校に参加を募り、新学期が始まる4月から授業の一環として、地域通貨の運営方法を話し合う。7月には小学生の家族を巻き込んで、1000人規模で地域通貨を導入する予定だ。「街の清掃活動や高齢者の介護を通じて小学生が得た地域通貨で、大人たちが野球やパソコンを教える」(吉田川男同委員会事務局長)といった使い方を想定してリいる。世代を超えたコミュニケいーションで街づくりにつなげたい。地域通貨にはそんな願いを込めている。(横山雄太郎)


わが町だけのお金・サービス買えます   H12.1014  朝日
「できることを」住民同士で売買

特定の地域内だけで流通する通貨「エコマネー」の試みが、全国に広がっている。導入を検討中のところも含めると30カ所に上り、年内には50カ所に迫る勢いだ。「テレビゲーム指導」や「話し相手」など、本来流通しない情報やサービスに価値をつけ売買し合うことによって、住民同士の交流を図るとともに、地域経済の活性化もねらう。「物よりソフト」を重視する試みは、大量生産。消費杜会への反省とも言える。(岡崎明子)

「エコマネーは、ある地域内の、特定の分野だけで流通するお金です」先月中旬、東京都内で「第一回エコマネー語りべ育成講座」が開かれた。
エコマネー導入を検討している地方自治体の関係者やシンクタンク研究員ら、全国から約三十人が集まった。

講師を務めたのは、北海道栗山町の「くりやまエコマネー研究会」の長谷川誓一代表。同町は札幌市から東へ五十キロ離れた人口1万5千人ほどの町だ。9月から11月家で、6歳から89歳の町民553人が参加して、エコマネー「クリン」の実験が行われている。

参加者は「できること」「してもらいたいこと」を研究会に登録、一人5,000クリンをもらう。「買い物代行」「育児相談」「除雪作業」…。
寄せられた延べ5,479メニューをカタログにし、参加者全員に配った。元看謹婦の花田節子さん(67)は、カタログを見て連絡してきた若い女性に潰物の演け方を教えて1,000クリンもらった。ためたクリンで、自分はちぎり絵を習うつもりだ。

研究会は昨年9月、町民の有志が集まって設立した。高齢者の話し相手になるなど、介謹保険ではカバーできない禰祉の分野で活用できないか、と考えたのが始まりだった。
9月からの実験は、今年2月に続き2度目となる。前回は20,000クリンだった当初の配布額を5,000クリンに減額したほか、知らない人同士では連絡が取りにくいという意見があったためコーディネーターを設置した。
また、スーパーに10回買い物袋を持参したら1,000クリンを渡すなど、リサイクル推進に活用する試みも。

「エコマネー・ネットワーク」(事務局・東京都千代田区)の中山昌也事務局長は、[貨幣経済では、100円で買ったアイスクリームがまずくても我慢するしかない。でも初めから値段をつけず、おいしかったら200円、まずかったら50円という風に『使用価値』を評価するのがエコマネー。物より情報やサービスをいかに持っているかが豊かさの指標となる、新しいタイプのお金でず」と話す。

東京・多麿ニュータウンでは来春の本格流通をめざし、六月からエコマネー「COMO」の実験をしている。同ニュータウンは東京都多摩市、八王子市、稲城市、町田市の四市にまたがる。
生活圏は同じなのに行政の枠が異なり、情報が届かないどいう不便さがあつた。参加している63人はインターネツトのメーリングリストで結ばれ、頼みごと、頼まれごとはメールでやりとりする。
横山真理理事務局長は「保育や犬の貸し借りなど、昔はご近所同士やっていたことだが、今は隣の人の顔さえ知らない。貨幣経済では流通しないものが買え、人と人がつながるのが魅力」と話す。

東京都新宿区の早稲田大学周辺商店連合会は、早稲田の学生湖周辺に住む高齢者にパソコンを教える、高齢者は学生が金欠になったときにおにぎりを差し入れするなど、世代間交流を推進するためにエコマネーを利用している。

地域経済の活性化へも一役        H12.1013 朝日

エコマネーはエコロジー(環境)、エコノミー(経済)、コミュニテイー(地域)をかけ合わせた日本生まれの通貨で、通陛省関東通産局の加藤敏春総務企画部長が、個人の立場で3年前から提唱している。エコマネーは地域のつながりやリサイクルに頁献するだけでなく、地域経済の活性化にも役立っている、という。高知市の菜園場商店街振興組合は、8月からエコマネー「エンバサ」を発行しでいる。約50店舗ある同商店街も、中心市街地の人口流出に伴い、空き店舗が目立つようになっできた。

駐車場の清掃やチラシ配り、フラワーポツトの植え替えなどをしてくれた消費者にエンバサを渡し、100エンバサで商品を1割引きにするなどのサービスで、商店街に客を呼ぴ戻そうという作戦だ。
昨年10月から「おうみ」を流通させている滋賀県草津市の草津コミュニティ支援センターでは、六月からタクシー代の一部、10月から映画鑑賞代の一部をおうみで支払えるようにした。1おうみが100円の換算。

タクシー会社は受け取ったおうみを社員の接客研修、映画館は宣伝に使っている。エコマネー・ネツトワークの中山事務局長は「エコマネーを広く流通させるためには、地域経済の中心地である商店街をどう取り込むかが大切。本物の金が流通する場こそ、エコマネーの流通も広がる」と話す。


地域のきずな再構築商店街助け合いエコマネー実験、清水銀座で11月  H12.9.19 日経

清水市の清水駅前銀座商店街振興組合(中山幹雄理事長)は11月にも、商店同士で、提供したボランティア活動を「通貨」の形にしてやりとりできるようにするエコマネー(地域通貨)の実験を開始する。
商店街全体の活動や、宅配代行など他の店の運営の手助け、家の掃除など生活面での手助けなどを通じてエコマネーをやり取りできるようにする。

商店の運営を全体で支えあうとともに、商店街の持つ地域コミュニティー機能を掘り起こしてまちづくりにつなげる。
9月28日に商店街に所属する約100店の関係者を集めて溝演会を実施、参加する商店を募る。約50店の参加を見込んでいる。参加を希望する店は、宅配代行・手伝い、店番、店への荷物の出し人れ、車の貸し出しといった店舗運営の手助けのほか、他の家の掃除、洗濯、ペツトの一時預かりなどの生活面を合め、自分が提供できるサービスメニューを提出する。

エコマネーの名称は、商店街での買い物額に応じてもらえるスタンプの愛称と同じ「エッグ」とする。同商店街振興組合がプラスチック製のチップを3000枚発行する。どのサービスがいくらの「エッグ」に相当するかはサービスを提供・受け取る当事者間の交渉で取り決める。

参加する店にほぼ均等に配布するが、商店街共通の消費者向けサービスとして貸し出しを行うショッピングカートや車いす、自転車を管理する店など、商店街活動に積極的に参加している店には傾斜配分する方針。同商店街は郊外型大型店の進出もあり、過去5年間で5%程度売り上げが減っているという。

各商店間が相互に助け合うことで地域コミュニティーの再構築を目指す。
毎年5月末にいったん、それまでのエコマネーを無効とし、使い残しは各店に再配分する。エコマネーの「貯金」を最小限に抑え、流通を促進できると見ている。総事業費は443万円で、うち332万円は国、県から助成を受ける。


【エコマネー 活動時間を“貯金”】   H12.06.30静岡新聞
助けたり、助けられたり ボランティア

ボランティア活動をした分、必要なときに。ボランティア活動で返してもらうシステムとして「エコマネー」が静岡県内でも関心を集め始めている活動時間を“貯金”して必要時に引き出すという「時間預託」制度を導入する福祉関連の非営利組織(NPO)が着実に増加。
浜松では独自の交換券をつくり、複数の団体間で”流通”させようという構想も浮上している。

「エコマネー的な考えを取り人れることで、ボランティアを気軽に頼めるようになった」。福祉サービスのNPO法人、WAC清水さわやかサービスの鈴木明与理事長はエコマネーをそう評価する。
ボランティアは本来、無償だが「無償だと頼む方は遠慮しがちで、望むサービスを受けられない傾向がある」。遠慮やためらいを取り払う効用があるというわけだ。袋井周辺で活動する福祉サービスのNPP法人、たすけあい遠州の稲葉ゆり子代表も「自分が助けたり助けられたりというシステムであることで、ボランティアの広がりが出てきた」と話す。

ボランティアをした一時間をたとえば一点と換算し、あとで自分が持っている点数分のサービスを受けることができるようにする。
これがエコマネーの基本的な仕組みで、団体によってチケットを発行、コンピューターで管理しているところもある。

一団体から複数の団体にその輸が広がりを見せてもいる。たすけあい遠州と、浜松で福祉サービスをするNPO法人、ねっとわあくアミダス(脊古光子理事長)は両団体間での預託時間のやりとりができるようにした。

『自分の空き時間を利用したボランティア活動の時間をためて、離れたところに住んでいる両親の介助サービスに使えるのはうれしい。
浜松で小学彼教員の仕事をする鈴木英子さんは、ねっとわあくアミダスでためた時間で、たすけあい遠州の介助サービスの提供を受けている。

エコマネーの“紙幣”発行を検討中の団体もある。浜松で健康に関運する情報発信を手掛けているNPO法人、HBNは9月から同地区の数団体で約半年間、交換券を使う実験を練っている。
浜松の方言で言葉の最後に付ける「だら」を「ドル」に引っかけて単位にし、図案でも浜松らしさを打ち出したい考えだ。「実験で運用上の間題点などを抽出して、本格運用につなげたい」(HBNの中野真副理事長)。本格運用時にはNPO法人、ねっとわあくアミダスも参加する意向だ。さうした動きを県も「ボランティアの広がりにも拍車がかかる」と積極的に後押しする構え。

県は今年度、県内3地区で導入実験をし、間題点などを洗い出す方針だ。「静岡県に多い環境関連や災害救援ボランティア団依など、福祉サービス団体に限定されない大きな広がりをもったシステムにしたい」(渡辺豊博NPO権進室長)と話している。

地域通貨・台所直結のサービス H11.12.11 朝日新聞
米や魚を共同配達  

揚げたてのてんぷらやコロツケのにおい。店先にほ実用品のシヤツや肌着がぷら下がり、野菜や果物が雑然と積まれている。わきの路地にほ洗濯物がのぞく。雨よけは所どころの空間に突き出た古びた防水シート。
師走の京都はことのほか底冷えするが店と客、顔見知り同士の立ぢ語が延々と続く。今どきは映画か舞台のセットでしか見かけないよろな懐かしの横丁の商店街。それが京都市の中央からやや西にある西新道錦会商店街だ

活気のある商店街として、東の烏山と並んで知名度が高い。京都とはいっても、近くに新撰組の壬生屯所跡があるくらいで観光客とほ無縁だ。
安藤宣夫・振興組合理事長によると「徹底した地域密着」が商店街の生き残り策である。

戦後、京友禅の工場がいくつかあったのを目当てに自然にできた商店街だが、友禅がすたれ、商店街も一時さびれかかったこともある。細い通りの両側に、肩を寄せ合うように並んだ155軒の商店の年間合計売り上げは約65億円。1店平均で4000万円だから、商圏人口4万人の商店街としては上の部だろう。

周辺の地域は近ごろ高齢化が進んでいる。ショツピングカートを押して歩くお年寄りの姿が目立つが、ファクスや電話を使っての共同受注と共同配達が徹底している。例えぱ、米屋に客からコメだけでなく、野菜や魚の注文まで入る。米屋がその宅配もすぺでこなす。

これは若い共働きの世帯にも受けている。何でもないことのようだが、普通の商店街でほかの店の注文、配達までほ受けない。商店街独自のブリペイドカードが普及していて、決済はそれで済む。安藤氏は「電子マネーの先取り」と称している。

ここにも烏山と同じように「地域通貨」を中核とする発想が濃厚にある。、商店街の入り口を京福電鉄嵐山線が走っている。ところが、駅まではやや遠い。そこで、商店街は近くに駅を新設してもらおうと働きかけている。

地元住民のためでもある。周囲に大型のスーパーがいくつかあるが、それでも地盤沈下を起こさない背景は、商店街の強い共同体意識と、地域住民のきずなが切り離されないようにするための工夫や手間の積み重ねといえるだろう。人のぬくもりを感じる大衆食堂。この商店街の印象だ。

【一地域通貨一】で企画多彩 スタンプが広げる輪 

東京都内の西部、世田谷区烏山住宅地を背後にした烏山前通り商店街は通称「スタンプ共和国」と呼ばれている。買い物のつど客に渡されるスタンプ(切手)の発行高、1965年以来、一度も年割れがない活況を示してるからだ。「なぜだ」という全国の商店街から年間で百回もの見学が訪れる。

商店街には地の利が重要だが、新宿から西の郊外へ走る京王線の千歳烏山の駅前というだけで、周辺は中流ともいえる住宅地。商圏人口は七万人とされている。観光名所や娯楽センターもない。むしろ渋谷、新宿、吉祥寺など東京でも指折りの繁華街まで至近距離で、その分は不利な要素でもある。

160店が商店街の振興組合に加盟している。そのうちスタンプを扱いにくい飲食店などを除き、百店の平均の年間売り上げが一店当たり約1億6000万円にのぽる。大部分が家族か従業員二、三人という零細経営だから、繁盛といっても誇張ではない。全国には約1万8千の商店街があるとされる。

数年前の民間のシンクタンクの実態調査では「繁盛している」と回答したところは3%にも満たなかった。その後も大部分は沈滞したままだと思われる。
それだけに烏山の例は視察を引き寄せることになる。ここのスタンプは買い物100円につき2円。集めて所定の台紙にいっばいになれば、もちろん買い物もできるが、2%の割引率は高いとはいえない。

低価格競争の小売業界では、2、3割引きはざらにある。特色はこのスタンプを、信用性、交換性を高め、現金と同様の「地域通貨」に近づけようとする商店衡の意欲にある。海外旅行、観劇など商店街の企画に参加できる。抽選ではない。

訪れた日にはミュージカル「ライオンキング」のチケツトとの交換に列ができていた。こうしたイベントが年間ほぽ切れ目なく続く。アイデアは若手の商店主たちがひねり出す。他の商店街では、イベント資金をその都度、店から徴収する例が多い。

しかしここでは、客の手元に1枚2円相当のスタンプが350枚(台紙1枚分、3500円の買い物)集まり、700円分になると、うち500円分が買い物やイベント参加への現金相当として扱われ、200円分は商店街のイベント資金に回される。

催し物への集客がふたたび買い物を呼び込み、次の事業資金へと還流して街の活気息切れしない。極めつきは、このスタンプが商店街が提携している都銀、信用金庫など7金融機関で預金として扱われることだ。バスの共通回数券、高速道路利用券とも交換できる。「スタンプ共和国」をここまで引っばってきた桑島俊彦・振興組合理事長は「スタンプは第二の通貨」、と師走の各地商店街を烏山方式宣伝のため飛ぴ回っている。

商店街名、場所  えるも〜る烏山、東京都世田谷区南烏山4・6丁目
HPアドレス http://host.goo.ne.jp/elmall

【烏山商店街に負けない賑わい、武蔵小山商店街(パルム)】   
ホイントカードとクレジットカードで他地区との差別化の徹底

武蔵小山商店は、昭和22年に結成され、昭和27年にはクレジット割賦販売事業を開始、31年は東洋一といわれたアーケード設置、32年独自の「共通商品券」発行、その後も商店街駐車場の開設とハード面の整備を進めるとともにサービス面ではクレジットカードの実績をいかしたポイントサービスをスタートさせ現在のカード発行数は14万枚を越え、徹底した他地区との差別化を計る固定客づくりに成功

 
【地域通貨・共通商品券】 H11.11.18

萩商議所などの教組、共通商品券を発売
300店加盟、釣り銭も

【山口】山口県萩市の萩商工会議所などで組織する萩市共通商品券協同粗合(刀柵勇理事長)ほ、市内の商店で使える商品券を発売した。使やすくして利用者を増やすために、釣り銭を出す。周辺地域の大規模郊外店などに流れていた買い物客を市内に呼ぴ戻して、商店街活性化の一助にしていく。

発行するのは額面500円と千円の二種類で、来年10月末までに500万円の販売を目指す。一枚単位で販売する。販売場所は商工会議所や市内の主な小売店、使用期限は設けない。協同組合加盟の300店舗で使える。

加盟店舗には一般小売店のほか、大型店やタクシーやホテル・旅館などサービス業、メーカーも入っている。
商品券が使える店には店頭など目立つ場所にステッカーを張って買い物客に分かるようにする。商品券の現金化などの手続きほ地元の萩信用金庫が一括して引き受ける。

商品券のデザインは一般公募し、萩市出身で奈良市在住の主婦、藤木陽子さんの作品を採用した。萩商議所は商店街活性化のため、90年から商品券発行を検討してきた。今年四月に協同組合を設立し、加盟を呼び掛けてきた。

地域通貨として 
“和同開珎”1300年ぶりに復活   H11.10
通貨発祥の地、秩父市共通商品券(コイン)一枚1000円で、土産にもなる地域通貨


【プレミアム商品券で集客】  H10.11.05  日経流通

商品券の額面に一定金額を上乗せるプレミアム商品券が商店街振興の有力手段として浮上、全国に広がりそうな勢いをみせている。プレミム商品券はプレミアム分を自冶体が補助する形で、既に東京の港区と板橋区が発行。

11月上旬には埼玉川口市も追随する。広島県福山市、大阪市では、自冶体の補助なしで発行する商店街も出てくるなど、「預金するよりも得」な商品券に商店街に熱い期待が集まっている。

埼玉・川口 10%上乗せ総額5億5000万円、市が補助金  H10.11.05 日経流通

【浦和】埼玉県川口市と市商店街連合会は10日から、市の補助金を使って額面を10%上乗せする市内共通のプレミアム商品券を発行する。市は市内に3500あるすべての小売・サービス業者に加盟を呼び掛けた、隣接する東京都に流出している消費者を市内に取り戻す狙いで、発行総額は5億5千万円。プレミアム商品券「川口市共通商品券」は、500円券11枚つづりを一冊5000円で販売。差額の500円分を市の補助金で賄う。

小売店のほか、飲食店、サービス業店も対象で、消費者が使いやすいように各店で釣り銭を出す。10日から99年1月31日までの期限附き。一人300万円まで購入でき、大型店や商店街に販売所を設ける。

加盟店は市内のあさひ、武蔵野の両銀行と川口、青木の両信金を通じて換金する。各金融機関も手数料を無償にするなど協力する。埼玉県では県議会もプレミアム商品券への補助制度の新設を決議するなど、プレミアム商品券拡大の機運が高まっている。


プレミアム商品券 広島・福山本通 20%上乗せ H10.11.05 日経流通
【福山】広島県福山市の福山木通商店街振興組合(木村恭之則理事長、61店加盟)は、加盟店で額面に20%上乗せした金額の買い物ができるプレミアム商品券を発行した。

新たな情報発信基地「とおり町交流館」の開館を記念して自冶体の補助を受けずに単独で発行するもので、地域住民の消費を刺激し商店衡の活性化に役立てる狙いだ。

商品券の額面は一枚500円。これを12枚セット5000円、24枚セット1万円でそれぞれ販売する。12枚セットは700組、24枚セットは500組の限定販売で、すべてが利用されると1020万円分の消費創出効果ガある。

物販店のほか、喫茶店や映画館などでも便える。「とおり町交流館」で12月12日まで販売、99年4月30日まで利用できる。プレミアム分は個店と振興組合で一定の割合で負担する。

大阪・天神橋筋でプレミアム商品券  H10.11.05 日経流通

天神橋筋商店街(大阪・北区)は、大阪市内の商店街では初めてプレミアム商品券を発行する。今回の発行分は天神橋三丁目商店街の店舗だけに利用先を限定するが、売れ行きが好調ならば[冷え込んだ消費意欲を刺激するため、天神橋筋商店街全体に広げていきたい。(天神橋筋商店街連合会)としている。今回発行する商品券は総額で1000万円分。

上乗せ分は20%にするため、購入者は例えば1万円で1万2千円分の商品券が買える。咋年に完成した全長2.7キロの商店街アーケード全面改装の一周年に当たる24日から発行する。利用できるのは3丁目商店街の店舗約160店で、飲食店でも利用できるよう商品券の最小販売単価は200円程度の小額にする。上乗せ分の20万円は、天神橋三丁目商店街振興組合が単独で負
担する。

地域共通商品券、成功には一工夫 H11.3.30 日経流通
プレミアム消費者支持・利用状況経営努力で差 

@個人消費の喚起、地域経済の活性化などを目的に様々な形態の地域共通商品券が発行され、商店街、中小商店のにぎわい創出に一定の効果を上げている。

A今後は商店街の共同売り出し事業や各種業界団体との連携強化により、顧客吸引力の拡大に努力することが強く求められる。

B消費者の目が地域の商業集積にもう一度向けられ始めている今こそ、中小商店ならではの強さを訴求した経営戦略の確立が急務である。

個人消費の押し上げ効果が注目される地域振興券(期限付き商晶券)は、4月1日までに全国の市区町村のすべてで交付手続きに入る予定になっている。本稿では、今回の国の施策のきっかけとなった各地方自冶体、簡工会議所。商工会、商店街などによる「地域共通商品券」に目を向け、商店街振興の観点から、その効巣や課題を探った。

生活防衛で行列
崎玉県狭山市。狭山商工会議所が実施主体となり、98年12月、市内の中小商店で利用できる共通商晶券(5000円単位に500円券10枚)を発行した。

発行総額3300万円。購入限度額一人5万円、300万円の市の補助で10%(500円券)のプレミアムを付けている。地域共通商砧券の発け形態は@自治体が敬老祝い金や記念品として、無料で交付するA簡工会議所、商店街連合会などが発行、目冶体が補助金を支出しプレミアムを付ける

B商店街の共同事業として額面発行したり、商店街が単独または共同で独自にプレミアムを付ける--という3パターンに大別でき、同市はAの代表的なケースである。商品券発売日の午前10時、販売窓口の商工会議所前に市民の長い列ができた。

初日で80%売れ、翌日に完売する人気ぶり。回収率は3月23日時点で83%と良好だ。参加店からは「お客さんの数が増えた」という声が多く聞かれる。利用が目立つのは酒販店やスポーツ用品店など。
使用者の90%が主婦で、生活防衛恵識が強まる中、買い得なプレミアム商品券が中小店に足をわせた。

商品券の回収から取扱店への支払いまで最短4日と短期のため売掛債権の増大による仕入れ資金不足は回避されている。また事業には商店街活性化だけでなく、ごみ減量キヤンペーンも絡めており、商品券使用者に各商店街の負担で水切り袋を無料配布する。
この袋の活用でこみが減少、市の焼却燃料の節約分がプレミアム補助分を上回るという行政効果ももたらした。
高齢者に照準
東京都台東区。区は商店活性化にも役立つよう、75歳以上の高齢者には97年度から、帰物に代え、区内中小商店で使用できる期限付きの「敬老祝品購入券」(一人3000円、500円券6枚)を贈っている。発行形態でいえば@の例だ。区商連もこの機に高齢者が安心して買い物できるよう各店の指導を徹底。

97年度は93%、98年度は95%の回収率を達成した。商齢者と商店に好評なこの事業の結果は、示唆に富む。商店街のうち、97年度に区内回収率でトップは佐竹商店街(組合員75店)だ。

JR御従町駅から十分ほどの同商店街は購入券で買い物した場合、スタンプを2借にするセールを組み合わせて、使用を喚起していた。98年度も粗品を贈呈するなど工夫を凝らし、連続一位に輝く。

一方、各商店街で業種別に購入券の利用状況(図表2-区商連まとめ)をみると、佐竹商店街は婦人服、医薬品、洋品が上位3業種だが、千束通り商品街なら、それが百貨ストア、総合食品、総合衣料と一様でない。

佐竹商店街では高齢者向けの品ぞろえに力を入れた婦人服店や、かねて高齢者へのコンサルティング販売に取り組み、得意客を持つ医薬品店の人気が高い。頑客にとって魅力あるサービスを打ち出した商店街や商店に券が集まるのは、裏返せば、消費者の立場に立った日ごろの経営努力がそのまま反映しているということだ。

商品券でどの店も同じように潤うのでなく、実は商店街格差や商店街の中の商店の強弱がより鮮明になると言える。地域共通商品券には個人消費の底上げ以外に、地域外への買い物客の流出を防ぎ、郊外の大型店から地域中心商街に顧客を引き戻す効果が期待できる。

共通商品券はだれでも購入できるので、魅力ある地域共通商品券を発行すれ隣接地域からの広域集客に結ぴ付き、新規顧客の開拓やの拡大にもつながる。
利用面からみれば、贈答用や法人及ぴ個人の冠婚舜祭用としの利用も見込め、商店衝の共同売り出しの再活性化や手詰まり感が出ている共同事業の起爆剤になり得る。

魅力向上3カ条 このように多くの効果が期待される商品券の魅力向上のため、3点を提言したい。まず、自治体が補助する地域共通商品券について、プレミアム率を中小商店よりも引き下げるなどし発行総額の一定割合を大型店でも使用できるようにすること。
使用者の選択の幅が広がり地域全体の顧客吸引力の拡大に貢献するとみられるほか、後に頑客の購買動向も検証できる。

第2は商品街の共同売り出し事業との連携。商品券使用者へのスタンプ2〜3倍ザービス、イベント、福引への優待により固定客の来街頻度の向上に結びつけることが強く求められる。

地域振興券は千円券で釣り銭を出せないため、生鮮など低単価の品を扱う商店は一般的に不利だが、振興券をプレミアム付きの一枚が数百円単位の商品券と引き換えられるようにすれば、十分に頑客を取り込める。そして、中小商店独自の経営努力。

商品券便用者に対するプラスアルファの割引率の付加、生活提案型商品のセット販売による客単価のアップなどは知恵と工天次第だ。
自店が地域の消費者からどう見られているかを再確認し、21世紀の高齢社会を考察した今後の戦略を確立する。今が絶好の機会なのである。  坂巻経営研究所・坂巻 貞夫


わが町の通貨。 H12.1.18  日経
社会の底辺を支える試み

米国西海岸のバークレー。サンフランシスコ近郊の大学町に、その通貨はあった。パンの絵をあしらった五種類の「プレツド」紙幣。住民が1997年につくった地域通貨である。インフレに強くブレッドが流通するのは会員の間だけ。

1時間働いて1ブレッドを受け取り、1時間分の労働に見合うモノやサービスに1ブレッドを支払う。1プレッドー12ドルが目安だ。ギター製造・修理業のデビツド・メリー氏(29)は99年秋、月60ドルの家賃をドルとブレッドで払った。534プラス5.5ブレッド。5.5ブレッドが66ドル分だ。

大家さんは人に頼んで庭の手入れをするんだけど、それに五時間半かかる。その分はブレッドで払うから、家賃もブレッドでいいって君ってくれたのさ」メリー氏はギターの修理代金をブレッドで受け取り、地場野菜などを買っで生活の足しにしてきた。「でも何より、上がる一方の家員をブレッドで払えるのは有り難い。そういってプレッドの効用を解説し始めた。

家賃邪10%上がったとする。大家が庭の手入れで人を雇う時間は5時間半のままなので、5.5プレッドは変わらず、ドルの支払い分だけ約52ドル増える。すべてドルで払うと60ドルも増えるから、約7ドル得する勘定だ。「わずかな効果だけど、この”パンのおカネ・はインフレに強いんだ」とぎれずに循環する。

バークレーは地球規模のIT(情報技術)革命の先端を走るシリコンバレーに近い。世界から人とカネが集まってくるから家賃もうなぎ登り。99年以降40%も上がった。メリー氏の家賃は据え置かれているが、ほかのように上がったら、もっとブレッドを使いたいと思う。「ブレッドなら地域社会の役にも立てるしね」。
メリー氏の家賃は大家を通じて庭師に回り、庭師が電気、水道の修理代、に使う。利子がつかないおカネだから、みんなため込まずに便う。ブレッドはとぎれることなく循環し、地域の経済に息を吹き込む。そういう仕組みを会員みんなわかっている。

ブレッド生みの親の日系四世ミヨコ・サカシタさん(26)が新しい通貨の発行を思い立ったのも、地域経済の先行きへの懸念からだつた。家賃が払えず9歳の子供とホームレス保護施設に入ったガードマン。生活費が足りないため二つの仕事をし、睡眠時間3時間で暮らす空港の荷物運搬人。景気に取り残された人々が、地域社会にはいた。「力の弱い地域の人々に抵抗力をつけてあげたかった」というサカシタさん。

グローバル経済と地域経済の両立を目指すその試みが小さな実を結びブレッドの会員は500人、発行総額は2万ブレッドになった。米国や欧州、オーストラリァなど、世界で2千もの地域通貨が流通し始めた。大恐慌のなか、疲弊した地元を復興させようとして起きた1930年代の地域通賃ブーム。いま、第二次ブームが始じまった。

地域貢献を加味ロンドン市北部ウォルサムストウ地区。低所得者や移民が多く住む町内でほ、地域通貨「ビーム」を使った”市”が開かれていた。のぞいてみると、大学職員のランカさん(38)が古着を並べている。街で買ったら10ポンド(約1700円)ぐらいするものが一着1〜2ビーム。「安いね」。淺黒い顔をした移民が3着もまとめて買っていった。

ランカさん自身、スリランカからの移民。今の仕事につくまで、「手に職がない私ほポンドを稼ぐのが難しかった。でも、ビームは地域への貢献といったことを評価してくれて、簡単な仕事でも手間賃をもらえる。どれだけ助かったか」。ビームの社会でまず目分の居場所をみつけ、それからポンドの社会に巣立ったランカさん。

「恩返しがしたくて古着を集めました」あちこちで生まれている「わが町の通貨」にほ、限界もある。働いた時間は問うが、質を間題にしないから個人の能力を引き出しにくい。利子がつかないために融資や投資に向かず、時間のかかる事業にはまず便えない。広く流通させるのはもともと想定していないおカネだ。それでも地域通貨の試みは続く。

ブレッドの会員の一人が言った。「地域のみんなでグローバル社会の底辺を少しでも支えたいと思っているんです

地域通貨  北大教授 西部 忠 H11.10.朝日
わが町の自律的発展支える
基盤は参加者間の信頼や倫理観、文化的メディアの性格も帯びる

私は昨秋、北海道経済の活性化策かんする調査研究の委託を社団法人北方圏センターから受け、カナダパバンクーバー島のコモツクスバレーに住むマイケル・リントン氏を訪れた。地域通貨の可能性を探り、地域交換取引制度(Local Exchnge Trading System)の生み親であるリントン氏から直に話を聞くためである。

現行の通貨制度では、発券は中央政府が独占している。これに対し地域通貨は、人々の自発的な意思決定により発行され、地域経済を部分的にに自律化する手段を提供するものだ。投機から地域経済守る

“昨今の事例から明らかなように、金融や経済のグローバル化は、実体経済に大きな負の影響を与え、コミニティーの存立基盤を掘り崩してしまう。いま求められているのは、地域経済を資本のグローバル化や投機化がもたらす災禍から守り、その安定的で自律的な成果のための方途を指し示すことであろう。地域通貨は、グローバル化が強いる画一化に抗して、地域経済が多様な発展を遂げるよう補助するものなのである。

リントン氏は1983年に人口6万人のコモックスバレーでLETSを創設した。厳しいリセッション(景気後退)の時代で、当時、カナダではプライムレートが15%を上回り、失業者の生活は困窮し、中小企業も干上がってしまった。こうした金諸まり状況でLETSは、地域通貨により財・サービスを取引するシステムとして生まれた。LETSの参加者はまず自分名義の口座を開設し、ゼロ勘定から出発する。

参加者は自らが提供できる財やサービスとその価格を目録に載せる。次に、必要な財やサービスを見つけ、価格などの条件を交渉してから地域通貨で代金を支払う。コモックスバレーの地域通貨はグリーンドルと呼ばれ、グリーンドルと現金であるカナダドルの交換比率は一対一と決められている。

グリーンドルの現金化は認められていない赤字返済の義務負わず参加者が3人の場合を考えよう。太郎は芝刈りサービスを10グリーンドルで花子に提供し、花子は子守サービスを20グリーンドルで次郎に提供し、最後に、次郎は古本を15グリーンドルで太郎に提供する。太郎は芝刈りサービスの代金である10グリーンドルを花子から受け取り、古本の代金である15グリーンドルを次郎に支払うので、彼の勘定残高は5グリーンドルの赤宇になる。同じように、花子の勘定残高は10グリーンドルの黒字、次郎の勘定残高は5グリーンドルの赤字になる。

三人の黒字と赤字の合計はゼロである。このようにLETSにおける黒字と赤字は常に相殺しあっているため、信用創造は発生しない。利子もつかない。

現在、コモックスバレーのLETSには450の口座が存在し、そのうち100口座はときどき、50口座は定期的に、10口座が頻繁に利用されている。現在の総取引量は1カ月あたり2、3千グリーンドルで、量的には決して多いどはいえない。盛況時の80年代半ばには、600口座、年間取引額が30万グリーンドルというときもあったという。

リントン氏は、80年代後半からカナダ、イギリス、オーストラリアなどにLETSを紹介するキャンペーンを展開してきた。世界的には、少なくとも1100以上、おそらく2000以上の地域で既にLETSが展開されている。各地域のLETSはそれぞれ固有の地域貨幣を持っており、その規模もさまざまだ。

LETSでは、各参加者が何かを買い、赤字を生みだすごどに貨幣を発行すると考えることができる。しかし、赤字を返済する義務はないため、参加者間には金銭貸借のような信用関係が生じるわけではない。黒字や赤宇は債権や債務ではない。赤字はLETSへのコミットメント(関与)の大きさを表しており、システムに対する将来の貢献を示している。
参加者は財やサービスを提供して自分の赤字を一定限度以下にたもつことを期待されている。

LETSは、参加者間の信頼や、倫理的・道徳的規範に基盤をおく交換制度なのである。信用創造が発生せず、利子も付かないことで、資本蓄積や投機的取引はシヤツトアウトされる。
国民通貨が同時に便用される場合でも、地域貨幣は、為替や景気の急激猛変動から、地域経済を部分的に保護することができる。またい人々の貨幣保有動機として、地域経済の安定と成長、循環型経済の希求など従来顧みられなかった経済的動機や、地域へのコミツトメント、隣人愛、相互扶助といった非経済動機をも含む可能性を開いてくれる。

価値・思想伝えるネツト

地域という言葉を共通の意見、関心、価値を持つ人々の間に成立する文化的な意味と拡大解釈するならば、LETSの可能性はさらに広がるであろう。例えば、地球環境間題に関心を持つ参加者が利用する地域通貨が流通するようになれば、エコロジーという主題の近傍に参加者のゆるやかなネツトワークが自発的に形成される。

そうなると、地或通貨は経済的メディアとして機能するだけでなく、価値や思想といった意味を表現、伝達し、参加を自発的に組織する文化的メデアの性格も帯びることになる。このことは男女同権化、老齢化、貧困化など、他のあらゆる問題に対しても当てはまる。さまざまな問題をめぐる複数の地域通貨が織りなすネットワーク社会は多様で創造的な社会を生み出す可能性を秘めている。





このページのトップに戻る  地域通貨、プレミアム商品券で御意見、情報をお知らせ下さい。


ホームにもどる】【商品案内 壱】【商品案内 弐】【商品案内 参】【商品 しいたけ

西野メッセージ
バリアフリー商店街】【リテールサポート】【グループホーム】【西野メッセージ


 
ご注文、ご意見はこちらMail:nishino@thn.ne.jp FAXはこちら054-641-6644